孫への教育費は認められないとダメ!

孫の贈与

孫の贈与はその都度、直接、使い切る!

扶養義務者相互間において、生活費又は教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち、通常必要と認められるものについては、贈与税の課税対象とはなりません。
扶養義務者の範囲は、民法に規定されています。
その範囲は広く、
・配偶者
・直系血族(子、親、祖父母、総祖父母、孫、曾孫など)
・兄弟姉妹(全血か半血かは問わない)
・三親等内の親族(叔父・叔母、伯父・伯母、甥、姪、それらの配偶者など)(範囲が広いため、「特別の事情」と「家庭裁判所の審判」が要件)
このように、教育費・生活費はかなりの広範で非課税の贈与ができます。
ただし国税庁の要件として、贈与はその都度、直接、そして使い切ることが必要です。
※1人あたり最大1,500万円(習い事は最大500万円)まで贈与税が非課税の特例「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」が設けられています。これについては、下記の注意事項を確認ください。

この教育費・生活費の贈与に問題は?

ご注意ください

教育資金を一括贈与して相続財産となる場合があります

直系尊属である両親・祖父母・曾祖父母などが、30歳未満の子供・孫・ひ孫に、取扱金融機関との教育資金管理契約に基づいて教育資金を一括で贈与した場合、1人あたり最大1,500万円(習い事等は最大500万円)までは、贈与税が非課税になる特例「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」は、令和3年度の税制改正により、令和5(2023)年3月31日まで2年間、適用期間が延長されました。
しかし今般の改正により、拠出した時期(贈与の時期)によって、贈与した方の死亡時における一定の管理残額(教育資金として使いきれず残った額)についての、「相続財産への加算」や「相続税の2割加算」の対応が厳しくなっており、特例制度のスタート時期に比べて、生前贈与としての節税効果には疑問がありります。
特例制度の利用後は、原則、取り消すことはできません。
ご自身の金融資産の余裕、他の子や孫への贈与等とのバランスも考えたうえで、慎重な検討が必要です。
※拠出時期が、①平成31年4月1日まで、②平成31年4月1日から令和3年3月31日まで、③令和3年4月1日以降、により「相続財産への加算」や「相続税の2割加算」の扱いが違います。

成人年齢の引き下げ

2018年6月13日に改正された民法により、2022年4月1日から、成年年齢が「20歳」から「18歳」に引き下げられました。

相続税と贈与税

未成年者控除

未成年者の年齢が「20歳未満」から「18歳未満」へと改正されました。
また、未成年者控除の額は、「満20歳になるまで」の残年数について、1年につき10万円で計算します。
これが「満18歳になるまで」へと改正されました。

相続時精算課税適用者の要件

この制度の適用を受けることができる者の年齢が、贈与の年の1月1日において「20歳」から「18歳」へと改正されました。

非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予制度適用者の要件

この事業承継税制の適用に係る受贈者の年齢要件が、「20歳」から「18歳」へと引き下げられました。

贈与税の税率の特例の受贈者の要件

直系尊属から贈与を受けた場合の特例税率を適用する場合の受贈者の年齢要件が、「20歳」から「18歳」へと引き下げられました。

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度および結婚・子育て資金一括贈与に係る贈与税の非課税制度の受贈者の要件

この特例制度の適用に係る受贈者の年齢要件が、「20歳」から「18歳」へと引き下げられました。

婚姻年齢18歳統一

婚姻が可能となる年齢が男性18歳、女性16歳から、男女とも18歳となりました。
また、成人年齢と結婚年齢が18歳に統一されましたので、「未成年者の婚姻に父母の同意を必要とする」法律が廃止されました。

養親年齢

養親となるための要件が「成年に達した者」から「20歳に達した者」に改正されますが、養親になるには従来どおり、20歳以上の者です。

NISA・ジュニアNISA

NISAの非課税口座の開設をすることができる年齢要件をその年の1月1日において18歳以上に引き下げられました。
ジュニアNISAの未成年口座の開設等をすることができる年齢要件をその年の1月1日において18歳未満に引き下げられました。上記については2023年1月1日以降に設けられる口座等について適用されます。

相続法と相続税法の話題

相続法とは、実は特別の法律があるわけではなく、民法第5編【相続】の条文の総称のことで、「総則」「相続」「遺言」「配偶者の居住の権利」「遺留分」「特別の寄与」などを指します。

相続法の最近の話題

自宅の生前贈与が特別受益の対象外となる「配偶者保護のための持戻し免除」が2019年7月1日から施行されました。

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、配偶者に対して居住用不動産の遺贈または贈与がされた場合には、民法903条3項の持戻し免除の意思があったものと推定し、遺産分割においては、原則として、その居住用不動産を特別受益として扱わず計算するようになりました。
つまり、20年以上婚姻期間のある配偶者に居住用不動産を贈与していた場合には、その不動産を遺産分割の対象に含める必要がないので、配偶者はそれ以外の預貯金などの財産についても多く相続できるようになります。

「特別寄与料制度」が2019年7月1日以後発生の相続から適用されました。

相続人以外の親族(6親等内の血族や3親等内の姻族) が無償で被相続人の療養看護を行った場合は、相続人に対して金銭を請求できることになりました。
他の相続人から受けた特別寄与料については、寄与者が相続財産から遺贈により取得したものとみなされて、相続税の対象となります。

「配偶者短期居住権」及び「配偶者居住権」が2020年4月1日以降の相続等に適用されました。

1.「配偶者短期居住権」
遺産分割が終了するまでの期間について生存配偶者の居住権を保護する目的で、相続開始とともに当然に発生し、次のいずれか遅い日までの間、生存配偶者はそのまま無償で居住建物に住むことができます。
①遺産分割により居住建物の取得者が確定した日
②相続開始から6ヵ月を経過する日
上記以外で、遺贈などにより配偶者以外の第三者が居住建物の所有権を取得した場合や、配偶者が相続放棄をした場合などには、居住建物の所有権を取得した者は、いつでも配偶者に対し配偶者短期居住権の消滅の申し入れをすることができ、配偶者は、その申し入れを受けた日から6ヵ月を経過する日までの間、無償でその建物を使用することができます。
2.「配偶者居住権」
被相続人の死亡時にその被相続人の財産であった建物に居住していた生存配偶者は、次のいずれかの場合に、居住建物を終身または一定期間、無償で使用・収益できます。
①遺産分割において、配偶者が配偶者居住権を取得したとき
②配偶者に、配偶者居住権が遺贈されたとき
この事業承継税制の適用に係る受贈者の年齢要件が、「20歳」から「18歳」へと引き下げられました。

相続税法の最近の話題

「住宅取得等資金贈与に係る相続時精算課税制度の特例」

2021年1月1日より、床面積要件の下限が40㎡( 現行は50㎡)に引き下げられています。(床面積に上限はない)

「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置」

①適用期限が2年延長され、2023年3月31日までの贈与について適用されます。
②相続等により取得したものとみなされる管理残額について、贈与者の子以外の直系卑属に相続税が課税される場合には、
当該管理残額に対応する相続税額について、相続税額の2割加算の対象となります。

「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置」

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置等について、以下の変更を講じたうえで適用期限
が2年延長され2023年12月31日までの贈与について適用されます。
①非課税限度額
・良質な住宅用家屋(※)【現行】消費税10%  1500 万円(左記以外 1000 万円)→【改正】1000 万円
・上記以外の住宅用家屋【現行】消費税10%  1000 万円(左記以外 500 万円)→【改正】500 万円
※) 良質な住宅用家屋とは、㋐省エネルギー性の高い住宅㋑耐震性の高い住宅㋒バリアフリー性の高い住宅のいずれかの
性能を満たす住宅をいう。
②適用対象となる既存住宅用家屋の要件変更
 適用対象となる既存住宅家屋の要件について、建築年数要件を廃止するとともに、新耐震基準に適合している住宅家屋
であることが要件に加えられた。