遺産10億円の相続税ゼロ申告を否認判決

東京高裁は6月24日、多額の借入れを行って取得した賃貸用不動産の相続税評価額について、東京地裁令和元年8月27日の一審の判決を支持し、納税者の控訴を棄却しました。

本件は、とある富裕層の個人が、多額の銀行借入で投資用の不動産を購入し、相続税対策を行ったものでしたが、東京地裁令和元年8月27日判決は、財産評価基本通達のいわゆる「総則6項」にて相続税対策を否認し、更正処分を適法としておりました。
相続においては、今後とも、必ずしも評価通達の定める評価方法(路線価方式等)ではなく、不動産鑑定評価額によった更正処分が行われる可能性が残りました。

裁判で納税者側は、総則6項について、その判断となる「特別の事情」の基準が示されていないため予測できないことから、法的安定性を阻害し租税法律主義に反するとのと主張したようですが、この点、否定されていました。

「評価通達6項において、評価通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産については評価通達の定めによって評価されない場合があることを定めていることからすると、評価通達の定める評価方法以外の方法によって評価した価額を当該財産の時価とすることがどのような場合であるか通達等によってあらかじめ示されていなかったとしても、租税法律主義に違反するものとは解されない」

2020年08月01日