成年後見は親族が望ましいと最高裁の方針変更

成年後見制度の取扱について、平成31年3月18日に厚生労働省で開催された成年後見制度利用促進専門家会議において、最高裁判所がこれまでの方針を変更する見解を発表しました。【最高裁と専門職団体との間で共有した後見人等の選任の基本的な考え方】
◯ 本人の利益保護の観点からは、後見人となるにふさわしい親族等の身近な支援者がいる場合、これらの身近な支援者を後見人に選任することが望ましい。
◯ 中核機関による後見人支援機能が不十分な場合は、専門職後見監督人による親族等後見人の支援を検討。
◯ 後見人選任後も、後見人の選任形態等を定期的に見直し、状況の変化に応じて柔軟に後見人の交代・追加選任等を行う。
裁判所へ「親族・家族から成年後見人を」と申し立てても、専門職資格者(司法書士、弁護士、社会福祉士等の専門家)が選ばれることが多いと聞いています。専門職の後見人は事務に明るく、知識も豊富であることは間違いありません。しかし、それは1ヶ月あたりいくらと支払う報酬・経費がかかるという事です。
成年後見人制度は、原則、本人が死亡するまで続き、報酬・経費は本人の負担として家庭裁判所が決定する金額なので、長生きすればするほど、報酬額が重くのしかかるでしょう。これまでは、後見人となった家族の不正行為などを背景に、これら専門職資格者の後見人の選任が一般的でしたが、この傾向が大きく変わっていく可能性があり、注視していきたいと思います。

2019年03月20日